海外に挑戦した日本人アーティストの英語はどうだったのか#1-質問事項確認

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今回は日本のアーティスト、ゴダイゴと宇多田ヒカルの英語を米人2名に評価してもらうと書いたが、その前に若干整理をしてみたい。

まず質問内容について、今までの流れから英語の歌がいい悪いには様々な要因がありそうなので、質問事項として以下の3つに分類した。
・英語の発音がなってない/まあ許容できるレベル/全く問題なし
 仮にも歌で何かを伝えるなら、最低レベルの表現力を備えてないと、聴く方も嫌だろう。これは歌い手の問題。
・メロディが英語の発音に則していない/訛りはあるが、まあ聴ける/全く問題なし
 前にも書いたが、「走る」は標準語では「はしる」の「し」にアクセントが来る。こういうことが(気を遣わないでも)分かってて音符を並べていかないと、自然なメロディにならない。これは歌い手よりも作曲者の問題。そういうノウハウが英語圏に有るかどうか、日本人である自分は分からないが、絶対あるはず。
・歌詞の内容がなってない、あるいは意味がない、幼稚すぎ、意味不明/変な内容だが、まあ言いたいことは伝わる/全く問題はない
 翻訳ソフトで英語の歌詞を作る人はいないだろうが、知ったかぶりで変なスラングを使ってしまったりするのも要注意。これは主として作詞する人の問題。英語圏で住んでいたバックグラウンドがなければ、ちゃんと英語の分かっている人がアドバイスするとか、そういう人が作詞する等、配慮が必要。

・ここまでやって問題がなければ、あとは歌そのものの力とか、声質とか、容姿とか、現地でのプロモーションとかが重要になってくる、はず。

次に今回ヒアリングするアーティストだが、ついでなので大幅に広げてみた。ここに書いてある情報は、特記なければ全てWeb上、Wikipediaとか公式サイトとか、Amazonとかから拾ってきたものである。

ゴダイゴ 「はるかな旅へ (Where'll we go from now?)」
ゴダイゴの英語の歌はたくさんあるが、全編英語の歌でないとメロディーに影響があるかもしれない。モンキー・マジックは、「Born from Egg on a mountain top」では「昔 卵 山の上」みたいな、ヘタウマ調の歌詞かも知れないし、今回は遠慮しといた。作詞は奈良橋陽子、作曲はタケカワユキヒデ。奈良橋陽子は父親が外交官で5-15歳までカナダ居住、その後NYCで演劇を勉強したり、英会話学校を設立したり、ハリウッド映画のキャスティング(The last Samurai、太陽の帝国等)をしているとのことで、歌詞は問題なさそう? タケカワユキヒデ氏は東京外国語大学英米語学科卒業だが、特に海外経験はそれまではなさそうである。

ピンクレディー 「Kiss in the dark」
彼女らが全米進出の際に使用した、いかにもなディスコ調の曲。作詞・作曲:Michael Lloyd(マイケル・ロイド)どういう人かは分からず。まさか日本人ではないと思うが。・・・と思ってググったら、ベリンダ・カーライルのデビュー・アルバムをプロデュース、バリー・マニロウとかシナトラとかとも仕事をして、映画Dirty Dancingのスーパーバイザー・・・・実力者じゃないですか。日本以外で世界40カ国で同時発売され、全米ビルボードでは最高37位を記録。これは、「SUKIYAKI」(坂本九)が1位を獲得した以来の40位以内に入った曲とのことだから、決してヒットしなかったわけではないようだ。ロイドさん大活躍。頼んでよかった。でもロイドさんのプロフィールには、ピンクレディーの作曲やった、とは書いてなかった。かなりセクシー路線で売ったため、日本ではイメージを損なうとの判断でほとんど放映しなかった。この人の場合は、発音がどうか、が問題となるのであろうか。

松田聖子 「All the way to Heaven」「We are love」
「All・・」はイギリスのみ発売(どういう層に売ろうとしていたのかは不明)。ベリンダ・カーライルが歌いそうなアップテンポの曲。作詞・作曲はM.Jay(1990なのであのカラオケクイーンは関係ないはず)&M.Gruz。ググっても関係なさそうな人しか出てこない。一方、「We・・・」は作詞:Seiko Matsuda/作曲:鈴木祥子だそうで、瑠璃色の地球みたいなバラード。もとは日本語の歌のようだが、英語への翻訳は本人か?外国の人が日本人に作った歌と、日本人が作って日本人が英訳/英作詞した歌。この2曲を彼らがどう聴き取るか、面白いところだ。「どっちも同じや」なんて言われたら、M.Jay&M.Gruzががっかりするだろう。個人的にはWe are loveというタイトルがとっても心配だ。

Dreams Come True 「THE FIRST DAY WITHOUT YOU」
2004年にネットワーク配信で世界的に曲を発売開始したらしいアルバムから上記の曲をセレクト。はじめはTHIS IS IT! YOU'RE THE ONE! I KNEW IT! - 「うれしい! たのしい! 大好き!」 ENGLISH VERSION -をダウンロードしてしまったが、これだとオリジナルが日本語の歌詞なので、後付けされた英語の歌詞が不自然かもしれない。ということで、新たに英語の歌としてのみ作成された上記の曲とした。作詞は吉田美和/Jeff Coplan、作曲は吉田美和/Jeff Coplan/中村正人。メロディが見事にドリカム節。日本を代表する歌姫・吉田美和の伸びやかな声が彼らの耳に届くのか。Jeff Coplanはググったら、キム・ワイルドのプロデューサー、バハ・メンの作曲者とか、いろいろやってた。で、この人、この歌を出す前に、1993頃にもドリカムと「Osaka Lover」という歌でいっしょにやっていた模様。昔からつながりがあったみたい。

宇多田ヒカル 「Easy Breezy」
出生地がアメリカ。もともと米国でデビューすることを考えていたらしい。宇多田ヒカルの歌は、基本的に日本語+英語のフレーズちょっと。ただそういう歌だと、時折入る英語のフレーズも「日本語的なフレーズ」になってしまっている可能性あり。それで判断されるのも本人も不本意だろうから(大きなお世話)、ここでは米国進出時の「EXODUS」から一曲「Easy Breezy」を選曲。さて、どうなる。EXODUS」は米ビルボード最高位160位。作詞作曲は本人、だと思われる。ただこの曲、サビがあまりにも「宇多田節」な感じがするので、その辺どうかな、と。

・・・以上、長々とアーティストのバックグラウンドを書いたのは、米人たちに判断してもらう際に我々もアーティストの実力値がだいたいどのくらいか、知っておいた方が楽しい、と思われるからである。永ちゃんもロッド・スチュアートと歌ったらしいが、今回はまあいいや(2009紅白で歌詞、間違えてましたね。NHKも焦ったかもしれないが、当方もずっこけたわ!)。カセットテープに「時間よ止まれ」が入っているが、「Ah Pacific」だけじゃ判断つかないだろうし。

ということで次回、実際に聴かせてみたい。ああ楽しみだ。

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このページは、ryo907が2016年6月19日 23:13に書いた記事です。

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