アメリカ人から見た外タレの英語力#2 外人に聞いてみる

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2010調査として米人2(中西部(シカゴあたり)出身Aと東海岸(NYあたり)出身B)に、(米国以外の)外タレの英語がどの程度のものなのか、聞いてみた。で、2016にも別の2CDに同様の質問を。いずれも違わぬビッグネームばかりである。こんなところでこんな事されているなんて知りもしないだろうが。

まず、2010調査から。一般的な回答としては以下の通り;

・一部を除き、米国人の発音との違いは見られない。すなわち、歌を聴いて米国人かそうでないかを区別するのは困難。歌としては、ほぼ全員問題ない。(A)
・まあまあ分かるかな。国籍は特定できないまでも、米国人でないことは分かると思う。でも歌としては、ほぼ全員問題ない(B)。

各アーティストについて:
Nickelback (Canada)
・カナダ出身ということを知らなかった(A)。

Coldplay, Oasis (UK)
・UKの発音は、けっこう区別しやすい(AB)。が、英語の一派であることには変わりないからね・・・。

U2, Enya (Ireland)

・かなりアメリカナイズドされており(U2)、全く問題なし。

Rickey Martin (Puerto Rico)

・英語の発音としては問題ないが、あまりにも歌に内容がなさすぎて、感動する余地がない(AB)。なるほど、それで和訳しても「アチチアチ」になる訳だ。大変よく分かりました。

ABBA, Cardigans (Sweden)
・歌としては全く問題なし。喋ったらどうなるか分からないけど(A)

Bjork (Iceland)
・アクセントが強烈すぎる。アメリカの発音ではまったくない。しかし、それが歌詞の内容と相まって、よけいに歌のメッセージを強くしている(AB)。なるほど、カルトな人気を博すのもそういうところから来ているのかも。

JET (Australia)
・歌を聴いたことがない(A)。アーティストそのものを知らない(B)。おかしいな。ボストンでは頻繁にかかっていたけどな・・。

ということで、以下は当方の感想。
・歌よりも喋りの方がアクセントがストレートに現れる。当たり前といえばそうだが、米国でもどうやら同じらしい。韓流の歌を聴いても国籍を当てる自信はないが、会って話せばすぐ分かる(はず)。

・逆に歌は、メロディでアクセントやイントネーションがかなり固定化されてしまうので、アクセントの違いが出にくい。メロディがあるということで、ある程度はごまかせる。
・しかし、ということはだ、歌い手の発音に問題がなくても、メロディの作り方次第ではかえって変な曲になってしまう可能性があるかもしれない。日本人は日本語のトレーニングを長期にわたってしているので、たとえば「走る」という言葉一つとっても、「はしる」の「し」にアクセントを置く(とりあえず標準語としては)ことは誰でも知っていて、メロディを作るときにそれが自然に聞こえるように(意識しなくても)音符を置いていくことができる。しかし、そのへんのセンスが分かっていない人がメロディを作ると、まったく「なってない」歌になってしまう。ということは、Bjorkを除いた今回調査の全員は、そういうセンスを持った人が曲を作ったか、あるいはそういう人のアドバイスを受けながら作った、ということになる(あるいはBjorkがわざと外して作っているか)。
・アメリカにも方言があるし、今回試したアーティストが標準的な英語からどれだけ離れているか、たとえば標準語と関西弁くらい離れているのか、というのを比較するのはここでは難しい。ただし、彼らと話をした限りでは、国土が広くて多人種国家である米国は、方言とか訛りについては日本語よりも寛容なのではないか、という印象を持った。
・面白かったのはBjorkで、なぜか二人とも「いや、別にオレは好きとかじゃないんだけどね・・・」といった態度を取ること。Bjorkの歌を好きだというのは、そんなに勇気の要ることなのか。
・前回のエントリーで出したLene Marlinの歌は、「まあ問題なし(A)」「ちょっとアクセント強いかな。アイルランドっぽいか?(B)」だそうで。

続いて2016調査。別の外人C、Dに同様の質問をしてみた。まあ、前回だいたいのところは分かったので真剣には聞いていないのだが、だいたいこんな感じ;
・基本的に、歌っている時には母国語が何かはあまり分からない。
・はじめに自分的に疑問に思ったLene Marlinも、特に問題はない(あ、そうですか・・・)。
・Bjorkも、母国語が英語ではないのは分かるけど、別に間違ったこと歌っているわけではない。
・・・やはり質問対象がビッグネームすぎたかな。が、このあたりはだいたい前回と同じ。

さあそこで日本人。今までもたくさんのアーティストが世界進出をしようとしてきた。ピンクレディー、矢沢永吉、松田聖子、ドリカム。世界を目指した彼らの英語力というのはどうなのよ、と気になってきませんか。ヒットした歌しなかった歌、その原因は歌なのか、発音なのか。例えばだ、以下の新旧2アーティストあたりはどうだろうか。

ゴダイゴ
70年代後半に人気のあったバンド。「ガンダーラ」「銀河鉄道999」などが有名。5人のメンバーのうち2人は米国人?当時から英語の歌を多くリリース。当時小学生だった自分的には「英語はうまいんだよね?」と思っていたが、実際はどうなのか。

宇多田ヒカル
海外生活が長いようだから英語は問題無いのだろうな。だからといって油断はできない。ちょっと住んでいなかっただけで、「いけてない」感は容易にでてくる。特にスラングとか流行言葉系。たとえば「クラブ行った」と言うだけで「なんだ行ってないじゃん」と簡単に分かってしまう。言葉って怖い。

さて、どうなる。

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この記事について

このページは、ryo907が2016年6月18日 21:11に書いた記事です。

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